さまざまなメーカー、いろいろな基種から最適な物を選定することはなかなか大変なことではないでしょうか。しかも安全かつ完全に焼却処理するには、価格やパンフレットだけで判断するのも難しいと思います。導入したけれども2~3年で壊れてしまったり、煙や灰の量が多かったり、思ったよりも使い勝手が悪かったりなど。
まずは「百聞は一見にしかず」ということで、
兎にも角にも直接見て触ってして下さい。想像と違ったことが見つかるかもしれません。
焼却炉を実際ご覧いただく時の重要なポイントは、
いろんなメーカーを比較して見て下さい。上記の4点から耐久性・燃焼効率・操作性について判断材料にしていただけると思います。
「レンガ式と水冷式はどんな違いがあるの?」と質問されることがあります。
レンガ式は、耐火レンガや耐火キャスタブルを燃焼室内に施工してあり、水冷式は鋼板を二重構造(内側と外側)にしてその間に水を溜めています。
レンガ式は蓄熱性に優れているので、水分の多い焼却物(野菜くず・紙おむつ・木皮など)の処理に適しています。しかし、燃やせば燃やすほど炉内温度が上昇するため、温度が高い時に燃えやすい物を投入すると急激に燃えだし、送風機からのエアーの量では足りなくなって(酸欠)黒煙を排出してしまうことがあります。
逆に水冷式は、炉壁の間に水がとおっているので炉内の温度が急激に上がることがなく送風機からのエアーが十分行き渡るので、燃えやすい物(廃プラスチック・合板・廃油など)の処理に適し、長時間運転しても黒煙の排出を最小限に抑えることができます。
しかしレンガ式とは違い、水分の多い焼却物の処理には時間がかかります。
このように焼却物によって対応が分かれますが、レンガ式でも木屑・紙屑・少量の廃プラスチックを処理する場合、うまく(投入量を抑制)焼却することによって黒煙を排出することなく処理することもできますし、水冷式でも一次燃焼バーナーを装備することで、紙おむつでも処理できます。
焼却炉のカタログなどで「アルマ加工」と記載されていることがありますが、これは表面処理のことをいいます。鉄を溶融アルミニウム中に浸漬し、表面にアルミニウム皮膜を施す加工法のことです。いわば、手にハンドクリームを塗るのと似ています。焼却炉は主に鉄を使用していますし、常に高温にさらされます。また設置環境によっては、風雨や塩害の影響を受け腐蝕も伴います。そこで影響を受けやすい部分(煙突・煙道・扉など)に耐熱性、耐蝕性に優れたアルマ加工をすることで耐久性を向上させるということになります。 SUS304(ステンレス)と比較しても耐熱性を示しますし、製作費も経済的です。また耐蝕性も亜鉛めっきよりも優れています。
当社製品の高温部分にはもちろんアルマ加工を施してありますし、特に高温になり鉄が腐蝕しやすい部分には、内部に耐火キャスタブルを施工してあります。
「どれぐらいもつの?」「レンガ式と水冷式では?」
こちらもよく聞かれることがよくあります。実際の使用状況(焼却物の性状・焼却量、焼却時間など)によりますが、まったく焼却炉として機能しなくなる状態まで7~15年と思われます。もちろん定期メンテナンス(耐火材の補修・アルマ加工部品の交換等)をしていただいてのことです。
レンガ式と水冷式では特徴が違いますので差がでます。例えば、紙屑や木屑を1日3時間、週3日運転した場合、過剰な使用状況でなければレンガ式のほうが長持ちします。逆に、合板やプラスチック類など高カロリーな焼却物を1日8時間、週6日焼却した場合は、水冷式のほうが長持ちします。このように、焼却量が多く焼却時間が長い場合は水冷式、そうでない場合はレンガ式をお使いいただくのがよろしいと思います。あくまで参考ですが。
◎税法上の減価償却は5年です。
焼却炉は屋外設置のケースがほとんどではないかと思いますが、屋根をしていただくだけで天井部の腐食を抑制することができます。
水冷式焼却炉は、内板と外板の間に水をとおしてあります。このため、錆びが発生し腐食の原因になることがあります。しかし、月に1~2回ドレンコックから水抜きをしていただくだけで腐食の進行をかなり抑制することができます。